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近代日本学校制服図録の参考買取価格
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難波知子氏による創元社刊の図録で、明治以降から昭和前期までの学校制服文化を多角的視点で可視化した作品です。約800点に及ぶ図版は集合写真、スナップ、広告、カタログ、商標ラベル等を網羅し、男子の詰め襟学生服や学生帽から、女袴、セーラー服や全国統一型へちま衿、児童服や制服製造の現場に至るまで幅広く扱われています。
第Ⅰ部では帝国大学・学習院・旧制中高等学校・師範学校・早稲田・成城学園など、男子制服の系譜を詰め襟と帽子を手がかりに叙述しています。第Ⅱ部では袴から洋装への移行について、鹿鳴館洋装、式服、徽章、腰紐、体操着、改良服、大正昭和初期卒業アルバムなどを通じて視覚的に制服史を再構築しています。第Ⅲ部では小学生児童服装の普及と学生服産業に焦点を当て、特に児島における製造拠点や商標ラベルの細部図版によって制服の「商品」としての側面が浮かび上がります。
朝日新聞書評においては、社会史の観点を併せ持つ本格図録として「制服萌え」の軽い見方を超えた評価が与えられており、難波氏が「国際化と伝統化」という視角で男女制服の成立と変遷を捉えた点が指摘されています。繊維ニュースでは児島の制服製造に代表される地場産業への目配りが「優れた史料センス」「嗅覚」とされています。
刊行は2016年8月で、B5判・約246248ページの大型本です。創刊された当時、お茶の水女子大学基幹研究院の助教だった難波氏の背景を踏まえても、制服の歴史的文脈と現代の制服文化との接続を科学的に描写する姿勢が貫かれています。
この図録は単なるビジュアル資料集にとどまらず、教育・社会・ファッション・産業という複層的文脈を制服を軸に解剖しており、制服が社会規範やアイデンティティ、産業として機能してきた歴史の重層性を示しています。特に第三部における「なんちゃって制服」的私服の源流への展望を示した点は、単なる過去の記録ではなく現代との連続性に光を当てています。
制服そのものが持つ制度や文化、産業的背景を歴史的・視覚的に再構成した点で他に類を見ない一冊であり、制服史や日本近代の教育文化に対する問いを深く掘り下げています。
図録、画集等の買取について
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