ちくま文庫、医学書、集英社文庫、歴史書類を買取り

著者 馬場康夫 による、東京ディズニーランドの誘致から開園に至る舞台裏を描いたノンフィクション作品です。出版は 講談社＋α文庫より行われています。内容としては、戦後から日本のエンターテインメント市場がどのように形成され、テレビ・ラジオ・大阪万博などを経て「テーマパーク」というビジネスモデルが登場したかを、二人の日本人プロデューサーを軸にして明らかにしています。

本書が重視しているキーパーソンには、プロデューサーの 小谷正一 氏と 堀貞一郎 氏が挙げられており、この両名がアメリカ本国の ウォルト・ディズニー 氏ならびに米国ディズニー社との交渉・招致活動を主導した経緯が描写されています。

書中では、第1章「史上最大のプレゼン」からスタートして、招致合戦の様子が克明に描かれています。例えば、千葉県浦安市の埋め立て地をめぐり、三井グループ側と三菱グループ側がそれぞれディズニー社にプレゼンを行ったというエピソードが紹介されています。

また単に招致の成功という結果だけを扱っているわけではなく、国内のエンタメ業界が黎明期に直面した限界や葛藤、そしてその中で生まれた創意工夫・驚きの演出・交渉術などがリアルに描かれています。「日本のエンターテインメントを支えてきた仕事人たちの熱い仕事ぶりが詰まっていた」との評価がなされています。

目次構成を見ると、「ディズニーを呼んだ男」「パッカードに乗った次郎長」「黒い蝶」「世界の国からこんにちは」「祭りのあとさき」「ウォルト・ディズニー」「利権の海」「白いキャンバス」と続き、物語の進行に沿って、日本でのテーマパーク構想が実際に「設計」「交渉」「建設」へと動いていった過程が章立てされています。

本書を介せば、なぜ東京ディズニーランドが実現できたか、単なる「遊園地の誕生」ではなく「日本のエンターテインメント産業の転換点」であったという視点がしっかり見えてきます。ビジネス書としても興味深く、プロジェクト推進・交渉・構想設計の観点から多くのヒントを得られる構成になっています。読後には誘致の裏側にあった人間ドラマや、夢を現実に変える力の源泉を味わうことができます。

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