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坪谷邦生氏による人材マネジメントの入門書です。本書は業務で必要となる知識を図解とQ&A形式でわかりやすく提示し、初心者にも読みやすい構成になっています。全10章で構成され、それぞれ「10のツボ」として整理された全100項目を扱います。

第1章では人材マネジメントの目的や歴史、構造、日本企業における特徴を概説し効果的な方法を示します。第2章以降では具体的テーマに移り、人事評価、賃金・退職金などの外的報酬、仕事への動機付けと密接な内的報酬である働きがい、等級制度、採用手法、異動・退職、人材育成、組織開発、そしてキャリアや専門性といった「働く人」の視点まで多角的に解説されます。これらの内容はすべて図と文が見開きで完結する形式で提示され、図解による視覚的理解とQ&Aの端的な切り口でポイントが掴みやすい構成です。

とくに人事評価章では、評価対象を「成果」「行動」「個人特性」に分け、それぞれMBOやコンピテンシー、適性検査といった代表的手法を整理しています。また目標管理とOKRの比較、フィードバックの在り方、公平感の担保につながる評価者と被評価者の信頼関係の重要性など、実務者に必要な考え方をQ&Aで展開しています。働きがいに関しては「仕事のやりがい」と「働きやすさ」の両立を探求し、報酬制度と組織文化のバランスを取ることの意義を説いています。

本書は企業の具体事例紹介にも力を入れています。トヨタ、リクルート、サイボウズ、アカツキという4社の事例を通じて、中小から大企業まで幅広い規模・ステージでの実践を学べます。各章末には人事担当や管理職、経営層、人材業界関係者など異なる立場に向けた著者からのまとめメッセージが記され、それぞれの視点で読者が行動に移せるヒントが散りばめられています。

著者坪谷邦生氏は、エンジニア出身で実務を経験した後、人事コンサルタントとして50社以上の制度設計・組織開発にかかわってきた実践家です。現在は壺中天代表として人材マネジメント支援や講座を手掛けるほか、中小企業診断士やCertified ScrumMasterでもあります。そのため本書には理論だけではなく、現場で実際に機能する視点と具体性が反映されています。

読了後には、人事制度や組織改善プロジェクトを立ち上げる際に必要な全体像と、日々の実務に役立つ知識が得られます。本書によって人材マネジメントの本質や構成要素を体系的に理解でき、個別課題にも応用できるヒントが得られる点がとくに優れています。図解で視覚的に理解しやすい点と、Q&Aで要点がすぐに把握できる点も高く評価されています。

紹介した内容により、本書は人事未経験者や若手管理職、制度担当者、人事コンサルタント志望者など多様な立場の読者にとって、基礎から実践まで活用できる一冊として価値があります。マネジメントの全体像を把握したい方、特定領域の実務スキルを補いたい方、組織課題の把握と改善策の設計に取り組む方にとって、有効な知見が得られる構成といえます。

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