経済CD、自己啓発専門書、経営BD類を買います

著者 エミン・ユルマズ が世界経済の大転換期を読み解き、私たちが直面する資産・金融・国際関係の変化を多角的に提示する一冊です。著者はトルコ出身で日本での学びを経て投資銀行に勤務した経歴を持ち、金融・経済の実務知識と国際的な視点を備えています。

本書の柱となるのは「高金利・高インフレ」というテーマです。著者は、これまで低金利・低インフレという前提が崩れつつあると警告し、特に米中間の「新冷戦」構造、国際分業・サプライチェーンのブロック化、経済のディカップリングといった潮流を、これまでの金融・経済常識を超える視点から分析しています。第一章で「トランプショック」と称される米国の関税政策の衝撃を取り上げ、次にトランプ１.0と２.0の違いや、米国に見える「四つのリセッションの兆し」を掘り下げています。さらに、AI株バブルの崩壊、そして新冷戦がもたらす日本のポジション、BRICS諸国の台頭、地政学的リスクという流れで展開しています。

著者の説得力を高めているのは、過去のITバブルやリーマン・ショックにも表れた経済指標の変化に着目した「兆候分析」です。例えば「今こそ日本が再び注目を浴びる国になる」という視点を加え、日本に暮らす読者が自分ごととして捉えられるよう工夫されています。 読者が得られる気付きとしては、まず長期視点が不可欠だという点です。短期の変動に振り回されず、歴史や制度の変化を俯瞰することで、自分の資産・キャリア・投資戦略を再構築するよう促されます。また、危機には「チャンス」もあるという発想転換を著者は強調し、特に日本という国の在り方を捉え直すヒントを提供しています。ただし本書においては、明確な銘柄推奨や即効的な投資手法を示すものではなく、むしろ「大きな潮流を理解するためのフレームワーク」を提示するタイプの書籍です。そのため、読み手自身が今回提示された視点をもとに、自らの状況・目的と照らし合わせて思考を深める必要があります。

本書は「これまでの常識が通用しない時代」において、どのように世界を眺め、どのように自分の立ち位置・資産形成・リスク管理を考えるべきかを鋭く問いかけています。読後には、日常のニュースや経済指標に対して「なぜ」という視点をもって接する習慣が芽生えるはずです。

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