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英国のランドスケープ・ガーデンデザイナー Tom StuartSmith の仕事をまとめたモノグラフで、出版元として著名な Thames & Hudson が手がけています。2021年6月に刊行され、全編英語で構成されています。

彼が世界各地で手がけた24件の庭園プロジェクトを選び、豊富な写真と図版、ドローイングによってその実践と思想を浮かび上がらせる構成になっています。 テキスト面では、園芸・造園分野で活躍するライター Tim Richardson が解説を担当し、Stuart-Smith自身による複数のエッセイも収録されています。

Stuart-Smithのデザイン手法は、伝統的な英国式ガーデンの構成要素を引き継ぎつつ、植栽の「自然性」とモダンな構成を融合させたスタイルとして知られています。 本書でもその特徴が明らかにされており、例えば「ページをめくるだけでその庭園のなかを散策しているような気分になる」との評価があるほど、視覚的インパクトに富んだ構成となっています。

構成をもう少し詳しく見てみると、まず彼の代表的な庭園24件の紹介が大きな柱で、各プロジェクトに対して「全体俯瞰のドローイング」「植栽・構成が伝わる写真」「解説テキスト」が併用されています。ドローイングを設計の出発点として重視する姿勢が随所に示されており、単なる完成写真集を超えた「思考の記録」としての価値があります。さらに年表や作品一覧、設計に至る背景・作庭における実践的視点も含まれています。

読み手としては、ガーデンデザインやランドスケープに関心を持つ愛好家・実務者双方にとって有益です。鮮やかなビジュアルが豊富なため、眺めて楽しむだけでも十分な満足感があります。その一方で、テキストも「思考を追っていける挑戦的な読書体験」と評価されており、深い知的興味を満たす内容が用意されています。

この書籍が持つもう一つの魅力は、Stuart-Smithが建築・景観・植栽を横断的に捉えており、「庭」を単なる装飾空間ではなく「場所と時間、植栽と構造が交差する場」として捉えているところです。そのため、プロのデザイナーやプランナーにとっては設計のヒントや思想的な指針としても機能します。ガーデンを単に「美しく見せる」ためではなく、「問いかける場」「時間と共に育つ場」として構築する姿勢が随所に感じられます。

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