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ラクロスのコーチングにおいて「選手中心」の視点を軸に据え、従来型の「指導者が選手をただ指示する」スタイルからの脱却を目指す内容となっています。出版元はFriesenPressで、2023年12月19日付で刊行されています。

書中では、まずコーチとしての哲学づくりに触れ、技術指導や自己反省、行動的・認知的・構成主義的な指導アプローチ、そして体力強化・コンディショニングのルーチンまで多角的に扱っています。 特に「選手自身が学び、考え、成長する環境をコーチがどのようにデザインできるか」という点に主眼が置かれており、著者が「伝統的な権威型コーチング”と、「対話型・振り返り型・選手との共創型コーチング」を対比して示していることも紹介されています。

目次構成から見える特徴としては、ラクロス特有の技術や戦術だけでなく、コーチング理論や心理的要素、長期的な選手育成に必要となる考え方がバランス良く配されています。つまり、初心者から経験あるコーチまで活用できうる「広い視野」を備えたテキストです。加えて、実践例やストーリーテリングが用いられており、抽象的な理論だけでなく現場で使えるヒントも散見されます。

本書が特に価値を持つ理由としては、まず「選手を主体とする」という観点がラクロス指導においてまだ十分浸透していないという実情を考えると、現代スポーツ指導の潮流と整合している点が挙げられます。例えば米国のラクロス協会が「コーチの質が選手の継続意欲に直結する」と指摘しているように、コーチが選手の視点を尊重することの重要性が高まっています。 そして、理論と実践を橋渡しするスタイルで、技術／体力／思考／哲学という四つの柱を一冊で扱っている点も、単なる技術書／ドリル集とは一線を画しています。

一方で、ラクロスを専門としないコーチや他スポーツの指導者にとっては、ラクロス固有の戦術名称・ポジション・場面設定が前提としてあるため、まったくラクロス経験のない方には若干ハードルがある可能性があります。さらに、内容が英語であるため日本語環境で使用するには翻訳や解説が必要になることも留意点です。また、全編を通して「選手中心」の姿勢を推奨してはいるものの、具体的な練習メニューの細部まではあえて踏み込んでおらず、各コーチ自身の現場事情に応じて「読んで・考えて・応用する」というスタンスを求める構成となっています。

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