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南アフリカ代表ロックフォワード、EbenEtzebethが初めて執筆した叙述的自伝で、栄光と挫折、そしてリーダーとしての日々が率直に綴られています。出版社はHodder&Stoughtonで、2025年10月2日に英語版が刊行されました。

著者エッツェベスは背が2 メートル超え、重量100キロ超というアスリートとして規格外の体格を誇り、2012年に代表デビューを果たして以来、130 試合以上のキャップを重ね、南アフリカ代表の最多出場記録を更新するまでに至っています。 本書では、そのフィールドでの「獰猛」とも評されるプレーだけでなく、ケープタウン郊外グッドウッドでの育ち、クラブや代表入りへの苦闘、自身の精神的タフネスの源など、「なぜ彼が世界最高峰で活躍できたか」という背景にも光が当たっています。

取り上げられている主なテーマには次のものがあります。まず、「出自と成長過程」。労働者階級的環境のなかで育った著者がどのようにして才能を発揮し、トップレベルへ昇りつめたかが、生々しく描かれています。次に「代表チームという兄弟的絆」。スプリングボックスにおいて、フィールド内外で培われた「仲間意識」やセルフマネジメント、リーダーシップの側面が語られ、単なるプレーヤー論にとどまりません。さらに「逆境・挫折・再起」についても言及されており、勝利の裏側にあるプレッシャー、怪我、フォーム低迷といったシーンも隠されずに描かれており、読者にとって彼のキャリアがいかに「平坦」でなかったかを実感できる内容です。

文体はフランクながらも誠実で、アスリートたる著者の内省とプロとしての姿勢が伝わるトーンです。ラグビーに深い知識がない読者でも、成長物語として、あるいはチームスポーツの極限で生きる男の「内側」として興味を引く構成です。例えば、代表ウィークにおけるルーティン、モチベーション維持のための考え方、オフピッチでの家族・友人との関係などが「鍵のひとつ」として紹介されています。

本書の対象読者は、ラグビーファンはもちろん、スポーツにおける挑戦・勝利・変化の物語を好む方々にも向いています。ラグビー競技自体の専門分析に深く踏み込むわけではないため、技術的な解説を求める読者には少し物足りないかもしれませんが、トップアスリートの人生哲学・背後にある人間ドラマを求める読者には十分に響く構成です。出版時点での著者のキャリアの「節目」を捉えており、二度にわたるワールドカップ制覇などの背景が語られているため、記録や栄誉の「物語化」が巧みです。

以上を踏まて、チェックする際のポイントとしては、著者のプライベートな思索やチームメイトとの関係描写がどこまで深く掘られているか、あるいはラグビー競技の核心に迫る記述がどれほどあるかを確認すると良いです。ラグビーを通じて人間として成長した一人の男の物語として、ラグビーに詳しくない読者にも読み応えがある一冊です。

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