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1977年に撮影されたアメリカン・バレエ・シアターの舞台作品であり、2004年9月28日にDVDとして世界向けに再リリースされました。映像はカナダのテレビスタジオでテレビ特番として収録され、監督はトニー・チャーモリです。主な演者にはバリシニコフ自身がくるみ割り人形／王子役、ガルシー・カークランドがクララ役、アレクサンダー・ミンツがドルシルマイヤー役を務めています。音楽演奏にはケネス・シェアマホーン指揮のナショナル・フィルハーモニック・オーケストラが参加し、本格的なバレエ体験を映像で楽しめます。

映像はスタジオ収録ならではの多角的なカメラアングルで構成され、伝統的な舞台とは異なる臨場感を演出しつつ、豪華な演者たちのダンスや演技が克明に記録されています。バレエ解釈としてはヴァイノーネンやゴルスキーの影響を受けており、成人の演者によるクララや王子、シュガープラムの妖精役を省略し、ドルシルマイヤーの存在感を強める構成になっています。

映像版は当初CBSで1977年12月16日に放送され、後にPBSでも繰り返し放映されました。エミー賞にもノミネートされ、特にバリシニコフ自身の演技が評価されています。DVDリリース版では1970年代のオリジナル画質を尊重しつつ、Dolby Digitalでステレオと5.1サラウンドの音響が収録されています。映像時間は約78分、4:3のフルスクリーン、NTSC方式、リージョン1対応です。

リリース元はKultur VideoまたはVital Distributionで、ヨーロッパを含む多地域で販売されており、Digital Classicsというクラシック映像専門のDVDレーベル名義でも流通しています。実際にDigital ClassicsはUKベースでクラシック作品を映像商品として提供するレーベルとして知られています。

この作品はバリシニコフの演出と技術が融合された象徴的な「くるみ割り人形」であり、バレエ愛好家だけでなく彼のファンにも深い印象を与えています。特にガルシー・カークランドとの共演は高く評価され、彼女のクララはその後の舞台映像においても代表的な存在となっています。

視覚演出的には伝統と革新のバランスが取れた作りであり、撮影時期の制約を超えて今なお映像として楽しめる作品です。シリーズのなかでも1970年代のテレビ向け収録映像としてはトップクラスといえる仕上がりです。映像演出においてもバレエ的リアリティを追求しつつ、テレビ映像ならではの観客視点が巧妙に盛り込まれています。

作品としては歴史的な位置づけでも重要で、バリシニコフの振付と演出、そしてクラシックバレエが融合した稀少な記録映像として、多くの専門家や愛好者から注目されています。時代を経てもなお映像としての完成度の高さが色褪せず、新たに作品を知る人にも響く美しいバレエ記録と言えます。

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