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王宮と英雄の間に揺れる運命を描いたBL作品です。舞台は中世ヨーロッパ風の王国で、幼少期に魔族に両親を殺された少女の出会いを通して、主人公リヒトが「魔王を倒す勇者になる」という幼い夢を抱いていたところから物語が始まります。 リヒトは美貌とオメガという「立ち位置」ゆえに実家の没落寸前の事情から、国王の側妃として王宮に売られてしまいます。勇者志望という気質は変わらず、実情は汚職と肉欲にまみれた暴君の夜伽を拒み続け、何度も王宮からの脱出を図っては失敗し、折檻を受ける厳しい日々を送ります。

そんなある時、魔王討伐を果たした伝説の勇者ヴィクトールが、王からの恩賞として「側妃リヒトを下賜してほしい」と望むようになります。王宮における「厄介者」扱いだったリヒトを、なぜ勇者が選んだのか――そこには、リヒトが抱えていた過去や勇気、そしてヴィクトールの純粋な執着と「初恋叶える」意志が絡んでいきます。作品は、この二人の関係を通して、王宮の陰と英雄の光、逃れられない立場と願いを交錯させて描いています。 特徴として、BLジャンルの中でも「α・β・Ω設定」が導入されています。リヒトがオメガである点が、王宮での扱いや家系の没落、側妃として売られるという展開の鍵となります。 また、暴君的な国王や王宮の闇、勇者という光の象徴との対比構造がきちんと構築されており、単なる恋愛模様ではなく、社会構造・立場・運命というテーマが背景にある点が読み応えを生んでいます。

イラストを担当した奈良千春によるビジュアルも、BL界隈で注目されるタッチで、登場人物の感情や身体の揺れを丁寧に表現しているという評判があります。電子版では描き下ろし特典付きとして配信されており、ファンにとってはコレクション要素も備えています。 販売にあたって押さえておきたいポイントとして、まず作品は一冊完結の形式であるため、新シリーズを追い続ける必要がなく、読み切りとして楽しめます。次に、BLジャンルかつΩ設定という要素があるため、そうした属性が苦手でないことを前提に読む方が安心です。さらに、王宮もの・執着系・初恋成就系というキーワードに興味があれば刺さりやすい作品設計になっています。

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