自衛隊ビデオやFPS専門書やサバゲー本などを買い取り

ダイレクト出版 ミリタリー・レポート編集部が編纂し、2025年3月25日に上巻・下巻の二冊セットで刊行された作品です。元陸上幕僚長・岩田清文氏、元航空幕僚長・田母神俊雄氏、元潜水艦隊司令官・矢野一樹氏、元海上幕僚長・古庄幸一氏など、トップクラスの自衛隊幹部7名が現役時代には制約により語ることのできなかった本音と経験を赤裸々に告白している点が最大の特徴です。

本書ではまず核兵器問題が重要なテーマとして取り上げられています。ウクライナ侵攻以降、核武装国が非核国を脅す現実が露見し、中国が過去6年間で核弾頭を240発から500発に増備している状況などを具体的に分析しています。また田母神氏は「専守防衛」や根拠規定に縛られる自衛隊の運用限界を指摘し、真に抑止力となるためには現在の制度が不十分だと警鐘を鳴らしています。

矢野一樹氏は原子力潜水艦の導入に関して、通常動力型よりも優れた戦術的価値を強く主張しています。冷戦後も核潜水艦による抑止力は有効であり、イギリスの採用例を挙げ「日本でも導入を検討すべき」と提案しています。また中国や北朝鮮が原潜計画を進める中、空欄となった日本の防衛能力の危機感も鮮明に描かれています。

さらに戦後の機雷掃海作業によって自衛隊員が79名の犠牲を払った事実も紹介されており、平時の任務であっても命懸けで国を支えてきた現場の姿が浮かび上がります。この事実があまり知られてこなかった背景やその意義について、古庄幸一氏の体験を交えつつ語られています。

全体として内容はミリタリー愛好者だけでなく、安全保障や国防政策に関心を寄せる読者層にも訴求します。複数の幹部による多角的視点と実体験に基づく叙述によって、日本の防衛戦略の現状と課題が立体的に描かれています。非核三原則・専守防衛の根本的議論や、自衛隊の役割認識を再構築するために意見提起する意欲作といえます。

編集部のミリタリー・レポート運営事務局は本書を通じて、国防に関する国民的な議論を活性化させる狙いを明示しています。社会に眠るタブーを破り、現実志向で国防を再検討するきっかけとなる一冊です。各章の告白は刺激的ながらも論理的で、制度設計の改善案や政策論議への着眼点も含んでおり、単なる内部告白にとどまらず、国民対話へ向けた橋渡しの書でもあります。

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