女性コミックセットなどを高額買取

清水玲子が描いた近未来SFミステリー漫画で、科学警察研究所の「第九」が脳内記憶の映像化技術〈MRI捜査〉を駆使して難事件を解明していく物語です。全12巻に及ぶ物語には、人間心理や倫理観をえぐる重厚なドラマが満載です。

物語では第九の室長・薪剛という冷静かつ天才肌のキャラクターが中心に据えられています。彼は冷徹な判断力と、脳内映像によって被験者の苦痛や記憶を知ることによる孤独を背負う複雑な内面を持ちます。少年のような中性的外見と鋭い眼差しを併せ持ち、その美しい描線の中に人体の臓器や血が飛び散るグロテスクな現場との対照が鮮烈な印象を読者に残します。

第九メンバーの中では、青木一行が突出した正義感で新人ながら捜査に深くかかわる存在として描かれます。彼と薪とのバディ関係は本作の心臓部であり、ときに激突しながらも互いを影響し合う姿が人間ドラマとして魅力を増幅させています。

物語にはさまざまな事件が描かれます。満員電車内でのウイルス殺人、外務大臣の娘誘拐事件、カニバリズム事件など、倫理的な葛藤を伴う難事件が連続し、他者の記憶を見るという非日常を通して現代社会の他人への無関心や政治と個人の関係にも鋭く切り込んでいます。最終巻では中アジアの国際政治を背景に展開される陰謀と復讐劇へ発展し、薪や青木の内面が極限状態へと追い込まれていきます。

この新装版は元の連載時より美麗な描き下ろし表紙と共に、2016年の映画化や2025年放送のドラマ化によって原作の世界が多角的に拡張された影響もあり、コミックスとして改めて映像的世界観やキャラクター描写の緻密さが評価されました。ドラマでは薪役に板垣李光人、青木一行役に中島裕翔が起用され、原作のエピソードに加えて「season0」との繋がりも取り込みながら全体像の深化が図られています。

2023年7月に発売されたこの全12巻セットは表紙やカバーイラストなどデザイン面でも統一感があり、ページ構成も見やすくなっています。白泉社レーベルの一環として、質感や装丁のクオリティも安定しており、オリジナル連載版から読み継いでいるファンにも新規読者にも、作品の世界観へ没入しやすい仕様になっています。

この作品は単なる犯罪ミステリーではありません。人の記憶という最も内奥にあるものを覗くことで生じる道徳や個人の境界、人と人との関係性の脆さと深さを浮き彫りにします。グロテスクな表現と美麗な画面描写、社会倫理を揺さぶるプロットが織り成すバランスが独特で、他作にはない読書体験を提供します。俯瞰的な視点と内省的な視点を行き来しながら、読者の理解をじわりと深めてくれる作品です。

コミックセット等の買取について

新しい、きれいだから、一律数百円で買取。これは査定ではありません。引取だと考えます。いくらで欲しい人がいるかという、相場で買取額は決まるべきです。正しい相場の見極めには、プロとしての経験が重要です。日々たくさんの査定や売れ行きを見てゆく中で、すこしずつ蓄積されます。アルバイトがすぐに真似をできることではありません。当店では経験豊富なプロが、必ず査定に対応します！