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森岡毅氏自身によって「刀」という名の企業を立ち上げ、沖縄北部で壮大なテーマパーク「ジャングリア沖縄」を構想・実現に至るまでの道のりを、挫折と再起という視点から克明に綴ったビジネスノンフィクションです。

本書はプロローグから第八章、不屈の章まで構成されており、最終的には「挑戦するとは何か」を問いかけるエピローグが添えられています。 各章では以下のような流れが描かれています：最初に「決意」の章で資本主義の洗礼やUSJでの計画頓挫と決断が語られ、次の「旗揚」では刀という組織の立ち上げ、マーケティング構想、組織づくりへの試行錯誤が綴られます。苦悶・覚悟・進撃・衝撃・絶望・不屈という章を通して、資金調達の危機、組織崩壊の危機、国際情勢変動など、外部要因と内部要因の狭間で揺れ動くドラマが描かれています。

森岡氏は本書中で、自らの意思決定プロセス、失敗と挫折を隠さず記述し、「楽観ではなく胆力を持つこと」「組織を縛る構造をどうつくるか」「大義とビジネスとの両立」などをテーマとしています。 本書の物語的側面は、単なる成功譚ではありません。挫折の瞬間を真正面から描き、どこまで耐え、どこで方向転換を迫られたか、どのようにリーダーや仲間との葛藤を乗り越えたかを読ませます。

森岡氏が14年前から温めていた構想であり、完成には建設費700億円を超す巨額投資も関わっていると述べられています。 なぜ沖縄北部なのかという問いにも向き合い、地域創生モデルとしての意義、観光業への施策、資本政策、地域との共創などの視点が取り入れられています。

著者・森岡毅氏は、P&Gでのブランドマネジメント経験、P&G世界本社での北米業務、USJにて危機的状況の再建に携わった実績をもつマーケター／戦略家であり、「森岡メソッド」と呼ばれる高等数学や戦略手法を活かした思考が知られています。 本書で読者は、彼がこれまで築いてきた理論を現場に落とし込み、実際にリスクと不確実性と戦う姿を「現場感覚」で追体験できます。

本書を読むと、起業・新事業立ち上げの現場における「揺らぎ」「ぶれ」「判断の切迫感」「組織崩壊の瀬戸際」など、普段語られにくいリアルなプロセスを体感できます。著者の実体験に基づく叙述が、生きた教訓として響きますし、読後には「折れない心とは何か」を自ら問い直すきっかけを与えてくれる構成になっています。

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