経済CD、経済入門書、セミナーBD類が売れる

株式を活用した資金調達の理論と実務を網羅的に扱う専門書です。著者は公認会計士であり証券・監査・銀行業務の経験を持つ山下章太。中央経済社から2022年12月2日に刊行されました。版型はA5、頁数はおよそ316頁です。

本書の構成は五章構成で、まず第1章で「投資家を理解するために必要な基礎知識」が扱われています。ここでは投資家の行動原理、期待収益率、リスク要因などが説明され、以後の議論の土台を築いています。第2章では「エクイティ・ファイナンスの流れ」に焦点を当て、資本政策の設計から実行までのプロセスを段階ごとに整理しています。第3章「エクイティ・ファイナンスの評価」は、発行価値、希薄化効果、割引キャッシュフロー法やオプション的評価法などの技法を詳述しています。第4章「上場企業のエクイティ・ファイナンスの特徴」では、公開市場での株式発行、公募・売出、増資・株式併合などの実務的論点を論じています。第5章は「エクイティ・ファイナンスの会計・税務」で、発行者・投資家双方の会計処理、税法上の留意点、ストックオプションや新株予約権などの取扱いを扱っています。

第2版では、旧版からの改訂点として環境変化が株式価値に与える影響への対応策、株価形成要因の多面的な分析がより充実化されている点が特記されています。 著者は神戸大学工学部を卒業後、監査法人トーマツ、みずほ証券、東京スター銀行を経て独立。評価会社・税理士法人・監査法人等を設立するなど幅広い実務経験を有しています。

本書は金融機関、証券会社、投資ファンド、公認会計士・税理士といった専門職を主な想定読者とし、実務と理論を結びつけた記述が特色です。企業の成長段階・ステージ別の資本政策の違いや、発行後の株価影響、希薄化管理など実践的課題にも言及しています。評価モデルや数値計算も含むため、財務モデリングやバリュエーション実務の習熟者やこれから使おうとする人にも役立つ内容です。

一方、入門書ではないため、基礎的なファイナンス理論や会計・税務の初歩を知らない読者には難解な箇所が出現します。特に第3章以降は数理モデルやオプション評価、希薄化シミュレーションを使った分析が含まれ、理論的な理解と計算力が求められます。加えて、改訂に伴って最新の市場環境や資本政策トレンドの解説が加わっているものの、将来の市場変動や法制度改正には逐次フォローが必要でしょう。

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