経理専門書や賃貸DVDや投資入門書や経営BD等を取扱

著者は 福室光生 氏で、債券トレーダー・ファンドマネージャーとして約30年にわたり債券や金利市場の最前線で活躍してきた専門家です。出版社は KADOKAWA、2025年9月4日発売で、投資初心者から中級者までを念頭に「金利」と「株式・債券・為替」の関係を実践視点から解き明かしたものです。

本書のテーマは「市場で儲けるためには金利の読みが極めて重要である」という点です。序章から終章まで通して、著者は「金利が株価や為替、債券の動きの前に動く」「金利を理解できれば資産を守り増やす武器になる」と訴えています。 特に近年、2024年8月に起きた株式市場の急落も「金利の変化」が引き金であったという視点が提示されています。 内容構成としては「序章：金利で得する人・損する人 「5つの分かれ道」」「第１章：債券と為替の動きが見える ‘金利の基礎’」「第２章：異次元緩和の終わりが迫る ‘国債を買うのは誰？’」「第３章：インフレと円預金の残酷な現実」「第４章：国の借金の行く末 ‘財政とお金の見えざる循環’」「第５章：金利は本当に上がるか？ ‘株価と財政拡大の読み方’」「終章：トランプ再選後の米金融市場の動き」という流れです。 各章では、債券・国債・為替・インフレ・財政政策など幅広いトピックを「金利」という共通の視点から掘り下げています。

本書の読むべきポイントとして、まず「預金だけでは不十分」という警鐘が挙げられています。インフレが進む状況下では預金金利では物価上昇に追いつかず、実質的な購買力が低下しうるという現実を、著者はデータを交えて指摘しています。次に、株式や債券、為替といった資産が動く「先」に金利が変動しているという視点が、投資判断において背景を読み解く鍵になります。例えば、米国の利上げ、日銀の政策転換、為替の急変動はいずれも金利の変化が起点であったという説明があります。 また、実務経験に裏打ちされた知見が多く含まれており、単なる理論書ではなく「現場で金利を扱ってきたプロの視点からの語り」という特色をもっています。 そのため、投資初心者でも「金利とは何か」「金利がどのように資産価格に波及するか」という基礎を学びつつ、より高いレベルの読みを身に付けたい方にも有用です。

本書を活かすためには「金利」「債券」「インフレ」「為替」といった用語に対してある程度の基礎理解があるとよりスムーズに読み進められます。単純に「株を買ったら儲かる」という世界ではなく、マクロ経済・金融政策・国際情勢と結びつけて資産運用を考えたい方にとって特に価値があります。

本書は「金利を知らずに投資を語ることの限界」を自覚し、「市場の根幹にある金利動向を読み解く力をつけたい」と考える人にとって、役立つ一冊になり得ます。資産運用や市場分析を一段階深めたい方には、手に取る価値が高い内容だと言えます。

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