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組織論の専門家である太田肇氏が、日本社会における組織の崩壊現象を分析し、その背景と再生の方向性を示した一冊です。

本書では、旧ジャニーズ事務所の性加害問題、ダイハツやビッグモーター、三菱電機、東芝などの企業不祥事、自民党の裏金問題、宝塚や大相撲のパワハラ、日大アメフト部の解散、フジテレビの対応問題など、近年相次いで明るみに出た組織の問題を取り上げています。これらの事例に共通するのは、組織が「目的集団」であると同時に「共同体」としての性格を持ち、内部の問題が外部から見えにくくなっていた点です 。

太田氏は、組織の支配構造を「絶対君主型」「官僚制型」「伝統墨守型」の三つに分類し、それぞれが抱える問題点を明らかにしています。また、かつて模範的とされた日本型組織が、時代の変化とともに「もの言わぬ集団」と化し、メンバーの主体性が失われている現状を指摘しています 。

さらに、PTAや町内会、学校、家庭など、身近な組織にも同様の問題が広がっており、「ホワイト離職」がその兆候として現れていると述べています。これらの現象は、組織の再生ではなく、新たな形への「新生」が必要であることを示唆しています 。

太田氏は、デジタル化が進む現代において、組織は「共同体」から「コミュニティ」へと変革し、個人が自立しながらも相互に支援し合う「インフラ型組織」への移行が求められると提言しています。個人が主体的に行動し、組織はその活動を支える基盤として機能することが重要であると述べています 。

本書は、日本の組織文化に根ざした問題を深く掘り下げ、現代社会における組織のあり方を再考するための貴重な資料となっています。組織の改革や人材育成に関心を持つ読者にとって、示唆に富んだ内容が詰まっています。

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