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長く続く人気シリーズ「イヴ＆ローク」の日本語版・第60巻目にあたる作品です。タイトルからも分かるように、シリーズ屈指の事件と人間ドラマが絡んだ一冊となっています。

物語の冒頭では、夏の嵐が通り過ぎた夜、独身最後の女子会で華やかなクラブが賑わう中、数日後に挙式を控えた花嫁が血の海のなかで命を失っているというショッキングな事件が発生します。被害者は幸せの絶頂にいた女性で、婚約者へのサプライズを計画していた痕跡も残されていました。捜査を る刑事のイヴ・ダラスは、被害者が信頼していた近しい人物の犯行と疑いを抱えつつも、被害者の周囲に目立った動機を持つ者がいないことに苛立ちを覚えつつ捜査を進めます。彼女の鋭い観察眼が、笑顔という「仮面」を張り付けたような殺人者の正体へと迫っていきます。

シリーズの大きな特徴である「ロマンス」と「クライム」の融合がいかんなく発揮されています。主人公イヴと夫ロークという二人の関係性が背景にありながら、被害者および加害者それぞれの「仮面」「信頼」「祝福」「裏切り」といったテーマが複雑に絡み合う構成が読後に深い余韻を残します。また、シリーズを通して描かれてきたイヴとロークの絆、ロークの過去暗部、そしてイヴの捜査官としての成長という要素も、この第60巻においてさらなる厚みと重圧を持って描かれています。シリーズ全体の文脈を知っておくことで、登場人物の言動や捜査の駆け引きの奥行きがより味わえる構成です。

翻訳・発売に関しては、見本となる日本の出版社によれば文庫判の624頁構成で読後の満足感も充分に考えられています。 登場人物、続編との繋がり、シリーズ既読者にとっての期待点などを考慮すると、シリーズを追ってきた読者には特に推薦できる一冊です。

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