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戦国時代の日本を舞台にした、独立型のルールブック兼シナリオ集です。CoCをベースにしながら、忍術や剣術といった史実を反映した追加ルールを多数導入しており、日本の戦国文化や職業背景を詳細に再現している点が特徴です。

探索者として選べる職業は武将や忍者、僧侶、陰陽師、伴天連、公家、茶人など多彩で、全部で26種程度が用意されているとされます。戦闘を重視するルール設計がなされていて、近接戦闘や流派ごとの技といった戦国期ならではの要素がCoC第六版と異なる重点で組み込まれています。

シナリオは連作三本構成となっており、プレイヤーが順に進めていく中で、比叡山の焼き討ちと織田信長に纏わる「秘密」が徐々に明らかになる流れになっています。「比叡山炎上」「松永弾正謀反始末」「安土黄金城卍返し」というタイトルが挙げられており、歴史的事件や人物を交えつつクトゥルフ的恐怖と戦う大河的展開が楽しめる構成です。

さらに「第六天魔王」と称される織田信長が「星辰の正しい時」を求めて野望を果たそうとする背後に、探索者たちがどのように立ち向かうかという構図が提示され、歴史ロマンとホラー要素が交錯する物語設計がなされています。

本書は商業作品として朱鷺田祐介氏が著し、KADOKAWA／エンターブレインより2006年5月に刊行されました。175ページのB5判で収録内容は探索者ルール、追加戦闘ルール、戦国日本の背景解説、神話生物や魔道書などの設定、そして連作シナリオという構成です。

プロのキーパーやプレイヤーにとっては、戦国期特有の文化史や戦術的対立にクトゥルフ的恐怖を織り込んだ設計が、従来の20～30年代舞台のCoCから大きく趣を変えており、特に史実イベントを絡めたシナリオ構成が魅力です。忍術や剣術の技術を具体的にゲームメカニクスとして定義するなど、日本文化の深い理解がルールとして反映されている点で、歴史とホラーを融合させた独自性が高いガイドブックといえます。

これらの要素は戦国時代を舞台にしつつクトゥルフ神話の恐怖と戦わせるという、本作ならではの企図が色濃く現れています。歴史背景や戦術、ホラーを交えた重厚なプレイを望む向けの構成が整えられている点に、本作最大の魅力があると評価できます。

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