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新人の救急車が主人公です。ぴーとくんは毎日「おじいさんが落ちた」「靴ずれが痛い」といったささいなことでも呼び出され、出動続きで疲れ果てます。「目が回る。もうイヤだ」と逃げ出してしまいます。それでも町で働く他の車たちを見て、誰かの役に立つことの素晴らしさに気づいていきます。

この物語には作者が救急現場の実態を丁寧に取材した背景があります。正高もとこ氏は取材を通じて「救急車がタクシー代わりに呼ばれて困る」「隊員のリアルな動き」を描写に活かしています。そのため子ども向けながら現場の課題にも気づかせる深みがあります。

挿絵は鎌田歩氏が担当しており、救急車や他の乗り物が細緻に描かれて表紙のぴーとくんの表情にも魅力があります。乗り物好きな子どもにとっては特に心惹かれる絵が詰まっています。

舞台は海辺の町で、消防署に新しく配属されたぴーとくんが主人公です。日々のさまざまな出動描写や、夕日の海岸で芝居のような心情の切り替わりが大人の心にも響く印象があります。

この絵本はのりもの絵本として楽しめつつ、働くことや誰かを助ける意義について考えさせる内容で、とくに親子で読む際には会話のきっかけとなります。ストーリーの持つユーモアやぴーとくんの葛藤、そして成長の姿を通じて、読み手の心に自然と問いかけるような奥行きを感じます。

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