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2017年の ニコニコ超会議2017 にて上演された「超歌舞伎」シリーズの新作が、花街を舞台とする恋物語として映像化されました。花魁・傾城初音太夫と、伊達男・八重垣紋三が運命的に出会い、そこに紋三のかつての盟友であり恋敵でもある蔭山新右衛門が絡んで展開します。

物語は、町娘だった未来が憧れを抱いて花魁の道に進み、やがて「初音太夫」として廓の頂点に立つという軌跡から始まります。伊達男・紋三との出会いを機に、長く抑えていた感情を取り戻し、二人はやがて心を通わせていきます。そこへ新右衛門が立ちはだかり、やがて刀と宿命が交錯する展開へと進みます。本作の大きな特徴は、伝統芸能である歌舞伎に、バーチャルアイドル・初音ミクやバーチャルキャラクター・重音テトが出演し、さらにホログラムやプロジェクションマッピング、AR技術を舞台演出に取り入れた「次世代エンタメ歌舞伎」である点です。紋三と新右衛門が繰り広げる立廻りや、廓の華やかな道中、舞台を覆う音響・映像演出が高く評価されています。

映像作品では、舞台本編のほかに、「制作現場に密着したドキュメント映像」「ニコニコ生放送時のコメント付き映像」などの特典が収録されています。英語・フランス語字幕も付され、国内外の視聴に対応した仕様になっています。出演には中村蝶紫も所作指導として加わり、伝統と最先端技術の融合が一層深められています。この作品は、歌舞伎の「世話物」ジャンルに位置付けられており、前作の時代ものとは趣を変えて、庶民的な感情や恋模様を描いています。色鮮やかな衣装や美術、そして映像演出の精緻さから、舞台を知らない方でも「歌舞伎」の世界を入り口として楽しめる設計になっています。こうした背景を踏まると、本作を手にする意義は二つに整理できます。ひとつは、伝統芸能の新機軸として歌舞伎の可能性を拡張した作品である点。もうひとつは、バーチャルとリアルが共演する異色の舞台映像体験として、視覚・音響ともに収録作品でしか味わえない構成になっている点です。いずれも通常の歌舞伎映像作品とは一線を画しており、収集や観賞の対象としても価値があると言えます。

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