狂言入門書や能楽BDや落語DVD類を取り扱い

歌舞伎をより深く理解したい読者に向けた入門かつ読み応えのある１冊です。編著者である大石学氏によって全体が構成されており、まず歌舞伎の歴史的背景や用語解説が丁寧に紹介されています。例えば「かぶき」の語源が「傾く」から来ているという説明や、遊女歌舞伎・若衆歌舞伎・野郎歌舞伎といった江戸初期の変遷が、庶民文化としての歌舞伎の形成を理解させてくれます。

書籍の中核となるのは、代表的な歌舞伎演目24本を選出し、それぞれのあらすじとその演目がモデルとした史実との関わりをビジュアルも交えて解説している点です。例えば「義経千本桜」では史実の源義経らの実像とのギャップに触れ、「勧進帳」を通して「安宅の関」の真偽なども論じられています。 構成面では「はしがき」「歌舞伎の歴史」「歌舞伎用語解説」のパートに続き、演目ごとの章立てという流れになっています。用語説明が別立てになっているため、これまで歌舞伎に馴染みがなかった方でも、専門用語に戸惑うことなく読み進められる設計です。

図版・浮世絵・舞台写真などが豊富に収録されており、視覚的にも歌舞伎の魅力が伝わるつくりになっています。たとえば舞台場面や衣裳、演出の特徴が写真として提示されることで、活字だけでは捉えにくい「歌舞伎の形」を実感できます。

本書の魅力として、歌舞伎を一方的に芸術・文化史の文脈で捉えるのではなく、庶民の娯楽・時に権威に挑むカルチャーとしての側面からも描いている点があります。演者や劇場が幕府の規制を受けながらも生き延び、現在に至るまで上演され続けてきた「しぶとさ」も読み取れます。本書を通じて、歌舞伎という舞台芸術が持つ複雑さや楽しみ方がより明確になります。演目のあらすじを知るだけでなく「なぜその設定なのか」「史実とのズレはどこにあるのか」といった視点を手にできるため、劇場に足を運ぶ前後や、鑑賞記録として手元に置いておく上でも価値があります。歌舞伎に興味を抱き始めた人から既にファンである人まで幅広く読める一冊となっています。

落語CD、歌舞伎DVD等の買取について

お品物到着後、汚れ・傷などの状態や付属品有無の検品を行います。査定結果はできるだけ早くお客様にお伝えしたい。そう考えて日々業務を行っております。しかし、スピードを上げ過ぎると、仕分けが雑になります。丁寧かつスピーディーに対応し、査定結果をできるだけ早くご案内する。これは開業時からの課題として続いています。できる限りご期待にそえるよう努力して参ります。