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風起隴西 三国密偵伝の参考買取価格
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馬伯庸の中国語小説を齊藤正高が日本語に翻訳した作品で、三国時代を舞台に「情報」の戦いを中心に据えたスパイ小説として位置づけられています。早川書房の「ハヤカワ・ミステリ」から2025年9月3日に544ページの新装版として刊行されました。
物語は魏・呉・蜀が互いに覇を競う三国時代の中国を描いています。蜀が諸葛亮を立てて魏に北伐を継続する過程で、蜀陣営の諜報組織「司聞曹」が中心軸となって展開されます。主人公の一人である陳恭は蜀の間諜であり、魏に潜入しながら機密情報を探る立場に置かれています。あるとき、陳恭は蜀へ潜入していた魏の諜報員の存在を知ります。彼らは新兵器「連弩」をめぐる情報を狙っているのではないかという疑念を抱きます。じつはこの連弩の機密をめぐって、魏と蜀、そして内部の権力構図が複雑に絡み合います。
もう一人の主軸人物、荀は蜀側の反諜報担当として機密を防衛し、制度的な体制維持を図ります。陳恭からの通報を受けつつ、蜀に内在する裏切りや策略に立ち向かいます。両者の視点を交互あるいは絡めながら、静かなる諜報戦争の裏側が克明に描かれていきます。
この作品の特徴は、「正史」には書かれない隠された闘いを描く点にあります。いわゆる武将どうしの激しい戦いの影で、情報という目立たぬ軸が時代の流れを左右しうることを示しています。登場人物たちは「英雄」ではないが、しばしば歴史の片隅で翻弄され、翻弄し、運命と知恵を交錯させながら生きていきます。歴史改変を意図する壮大な筋書きはないものの、冷戦的現実感と心理戦が随所に息づいています。
読者が楽しめるポイントは、華麗な戦いを主題としないところにあります。策略や裏切り、知略によって局面が変わる流れ、主人公たちの内面葛藤、歴史の大波に翻弄されながらも小さな行動が意味を持つ点が魅力です。
知られざる裏側を知る喜びとともに、歴史の表舞台に名前を残さない者たちの影の役割をあぶり出す作品です。派手な戦闘シーンではなく、情報の網の目を縦横に張り巡らせながら張力を生む展開が読者を引き込み、三国志という馴染みの題材を新たな視点で再構築した作品として、単なる歴史小説以上の読み応えを備えています。
文庫、新書等の買取について
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