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舞台は小惑星の衝突によって地球が滅亡に向かう、あと七日という切迫した時間に設定されているのです。元刑事パレスは唯一の肉親である妹ニコに再会したい思いだけを胸に、警官たちが避難する「警察のいえ」を離れて旅に出ます。ニコは地下活動グループと共に衝突を阻止しようと行動しているという確信があり、パレスはその痕跡をひたすら追ってゆく展開なのです。

物語は派手なカタルシスではなく、極限状況における個人の行動や出会いに焦点を当てた、静謐でしんとした語り口が特徴です。主人公は終末の混乱の中でも刑事としての「捜査」をやめず、謎を追い続けるその姿から「人間の強さ」が浮かび上がってきます。堂場瞬一氏もこの作品を「人間の「弱さ」ではなく「強さ」の物語」と評しています。

SF的な設定は背景として控えめに用いられており、作品全体はハードボイルドの質感を帯びています。広がる世界観を大仰に描くことはせず、主人公の視界に入る範囲での光景や人との触れ合いを丹念に描写し、読者を物語の静かな強度に没入させる構成となっています。

シリーズ三部作の完結篇として位置づけられており、前作「地上最後の刑事」「カウントダウン・シティ」で築かれた世界観と人物像が、この作品で静かに収束していきます。作者の筆致は終末に際してもなお「何を信じ、何を選び、生きようとするのか」を問いかけているのです。読後には余韻が心に残り、深く胸に響くタイプの終章を迎える作品となっています。

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