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ギャンブル依存症を抱える本人ではなく、その家族・周囲の人々が直面しやすい具体的な状況に焦点を当て、どう対応すればよいのか、実践的な知恵を提供するガイドブックです。改訂版として、オンラインギャンブルの急増、闇金や違法貸付の悪質化など、近年の状況変化を反映させてアップデートされています。

内容構成としては、まず著者自身の体験から入り、そのあと「原則１：自助グループ・家族会につながろう」「原則２：解決のチャンスを引き寄せよう」という大きな軸が設けられています。 続いて「対応」の章が複数並び、「定期預金や保険の「使い込み」をどう防ぐか」「夫が生活費を入れない時どうするか」「借金返済を焦らなくてよい理由」「なぜ「金銭管理」を家族が担ってはいけないのか」「弁護士を味方につけるには」「逮捕・失踪・ヤミ金取り立て…どう対応するか」「離婚や別居を考える時」など、非常に幅広いケースが取り上げられています。

特に、家族側の「どうすれば」という問いに対して、支援／対処の視点がきちんと提示されている点が特徴です。たとえば「金銭管理を家族が全面的に引き受けてしまうと、逆に状況が見えなくなりがち」という注意喚起や、「借金返済ばかりを優先せず、まずは回復に向けた環境整備をすることが重要」というアプローチが見られます。 また、本書には「家族の体験」コーナーとして、実際に直面したエピソードが多数掲載されており、同じような状況にある読者が「自分だけではない」と感じられる構成になっています。

著者の田中 紀子氏は、ご自身が祖父・父・夫がギャンブル依存症であった経験を持ち、さらに自身もギャンブルと買い物の「依存」に陥った体験を経て、現在は家族支援・依存症支援に携わっている人物です。 この背景から、本書には理論だけでなく「当事者も家族支援者も納得できる生の視点」が盛り込まれています。

読者にとっての活用ポイントとしては、まず家族が置かれている「見えづらい状況」を整理し、次に「何をしなければならないか」ではなく「まず何を止める・何を変えるべきか」に踏み込んで考えられていることが挙げられます。例えば、借金返済のプレッシャーに追われて「家族だけで引き受ける」のではなく、適切な専門機関や法律家の支援につなげるという選択肢を紹介している点が印象的です。

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