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著者である竹内彰志氏は早稲田大学大学院法務研究科修了の弁護士で、選挙・政治資金を扱う実務経験を持ち、政策担当秘書等の立場から政治資金の現場を知る立場でもあります。本書は全232ページで、「序章」「第1章～第5章」「終章」という構成を取っており、章ごとに政治資金規正法の根本や運用、不具合、改正の歴史、公開制度、未来の課題が順に取り上げられています。内容としてはまず法の目的――政治活動の公明性・公正性の確保、民主政治の健全な発達――が解説されます。次に国会議員等の収入と支出の実態、政治団体の構造、政治資金がどのように集められ、どのように使われているかを具体的に描写しています。政治資金パーティーを通じた資金の流れ、議員活動費、政策活動費、特殊乗車券や航空券など見落とされがちな支出項目にも言及があります。

歴史的経緯の章では、戦後直後の施行から、リクルート事件、派閥裏金問題など、大きなスキャンダルが生じた時期の法改正の流れを整理しています。どのような事件が契機でどのような論点が浮上し、制度がどう変わってきたかを丁寧に追っています。情報公開制度の在り方にも重点を置いており、政治資金収支報告書の制度、どこまで公開されているか、公開の限界や制度の盲点も論じられています。公開が法的に義務づけられていても、実際には報告の漏れ・曖昧な会計処理・虚偽の記載など、運用上の問題が見られる点を指摘しています。

終章では現行制度の到達点と残された課題を整理しています。課題としては、公開の信頼性、監査・罰則の実効性、制度の透明性をどのように確保するか、政治資金規正法と他の制度・法律との整合性、そして国民の監視機能の強化が挙げられています。本書の特色は、政治資金規正法を法理や制度だけでなく実例と事件を交えて具体的に描くところにあります。法律をただ条文どおりに論じるのではなく、政治の実務や議員・政治団体の現実的な行動・慣行を手がかりとして、制度が機能する・しない点を読者が実感できるようにしています。読者が法律家でなくても、政治活動やメディア・行政に関心がある一般の市民にも理解しやすい記述を心がけています。

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