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青瓜不動 三島屋変調百物語九之続の参考買取価格

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[時代小説]青瓜不動 三島屋変調百物語九之続

2025年6月に発売です。

[著者や編集者など]

・宮部 みゆき

参考買取価格は520円です。

2025年7月25日時点の参考買取価格です。

第四代時代怪談シリーズ「三島屋変調百物語」の第九作目にあたる短編集です。江戸の袋物屋「三島屋」を舞台とした怪異譚が中心で、今回は語り手や聞き手に変化が生じています。本作が刊行されたのは2025年6月17日で、文庫判の全480ページに四つの短編と特別収録の一話が収められています。

第一話「青瓜不動」では、初代聞き手のおちかが出産を控える中、黒と白が混ざった線模様のある不動明王像「うりんぼ様」を背負う女性が現れます。彼女が連れてきた不動明王が、社会からはじき出された女性たちを集めた尼寺・洞泉庵を守るために現れる物語で、女性たちの連帯や祈りの力が底に流れています。作中では「俗世で与えられた役割を果たすこと」が仏道につながると語られ、僧侶的な修行だけでなく日常の営みの尊さが強調されます。

第二話「だんだん人形」は、代々代官の横暴に苦しむ村人たちが、水牢に閉じ込められた悲劇を背景にしています。そこで作られた土人形が当主を守る存在として代々機能し「人の念の恐ろしさと尊さ」を描いています。怨念が形を変えて人を守るという寓話として構成され、理不尽に直面する悲哀と希望が交錯します。

第三話「自在の筆」は、持つ者に絵の才能を授ける不思議な筆をめぐる物語です。絵師の才能を呼び覚ます代償として、筆が呪的な力を帯びる恐れが示されます。聞き手・富次郎は自身の進路や覚悟を揺さぶられ、物語を経て重要な決断を下す展開となります。

第四話「針雨の里」は、人ならざる者たちが暮らす里に降る「針のような雨」に題材を得た幻想譚です。里に引き取られた孤児の少年を通して描かれる異界の悲しさとやさしさが同時に示されます。後味は冷たくも暖かく、幻想的でありつつ哀感を漂わせる構成となっています。

この作品全体を通して流れるテーマは、権力による抑圧や社会からの排除に直面した人々、特に女性や弱者が怪異や祈りを通じて再生と救いを得るというものであり、怪談であると同時に人情譚としての深みにも満ちています。またシリーズを通じて語り手だった富次郎が聞き手としての役割を確立しつつ、自身の生き方に迷い、転機を迎える姿が丁寧に描かれています。

印象としては怪異に彩られながらも後味は決して重苦しくなく、むしろ救いや温もりを残す物語構成が特徴的です。その構成によって読者は恐怖を受け止めつつも、人間の絆や祈りの力を再認識する機会を得ることができます。聞き手・富次郎の成長や決意が描き込まれることでシリーズにおける次の展開への期待も高まります。

時代小説、歴史小説等の買取について

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