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現代の将棋における新たな矢倉戦術とも言うべき「令和急戦矢倉」について、その狙いと実戦例を著者自身の研究手を交えて詳しく解説するスタイルの一冊です。昭和～平成時代の堅陣を組み合う「相矢倉」に代わり、序盤から主導権を目指す「急戦矢倉」が主流となってきた流れに沿い、その構造と要点を体系化しています。

内容はまず序章で全体の出だしを提示し、その後▲６六歩型、▲５六歩型、▲４八銀・▲６八角型、▲２四歩型、▲２八飛型という五つの典型的な展開に分けて構造解析と対応策が展開されます。著者は研究に基づく実戦的な工夫を盛り込んで先手側の多様な応手や狙いに応じた対応を紹介します。令和の局面で変化してきた矢倉戦の構造を知り、戦型選択の理解が深まる構成になっています。

著者の上野裕寿五段は、矢倉戦に強い居飛車党として知られ、特に第５４期新人王戦と第１４期加古川青流戦での優勝という実績を持ち将棋界の注目を集める若手棋士です。プロ入りから非常に短い期間で棋戦優勝を果たした点にも特徴があります。書籍の解説姿勢にもその新進性と現代性が感じられます。

本書はマイナビ出版の将棋書シリーズ「マイナビ将棋BOOKS」の一冊として刊行されており、発売時期は2025年7月です。四六判サイズで正文は前後含めて223ページとされており、実用書としての読みやすさと実戦への応用性が考慮されています。これまでにない新しい矢倉の思想として、序章と五つの型に基づく分かりやすく実戦的な構成、そして著者自身の鋭い研究と経験が融合した内容が読者にとって新鮮かつ役立つ内容になっています。伝統から進化した令和の矢倉を理解するための道しるべとして、独自の視点で戦い方や構想を学べる構成になっています。

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