将棋入門書、囲碁入門書、花札専門書などを取扱

終盤力を養うために羽生善治九段が監修し，小田切秀人氏が執筆した一冊です。終盤という将棋の結末を決定づける局面に焦点を当てて，詰みや寄せ，受けをどう考えていくかをやさしく解説しています。詰みとは何かを示す基礎からはじまり，相手玉を追い詰めていく寄せの手筋，詰めろ・必至のかけ方，さらに相手の囲いを崩す突破方法や受けの考え方を，第１章から第５章にわたり段階的に学べます。最終第６章ではチャレンジ問題が用意されていて，自分の理解度を試しながら力を深められる構成になっています。

本書が特に重視するのは「スピード」です。終盤では一手の速さが勝敗を左右するとの視点が終始貫かれており，寄せのスピード感を重視しながら，相手玉を如何に早く追い詰め，詰みに持ち込むかを丁寧に伝えています。手筋の数々を多数紹介し，短時間で成果を実感できる学習効果を狙っています。

初出は2012年で，当時の好評を受け今回の改訂版では新情報を加えリニューアルされています。著者が累計50万部を超える人気シリーズとして子どもだけでなく将棋ルールを学び始めた初心者にも向いている内容になっており，中盤や序盤を学んだ後の自然なステップアップ先として最適といえます。

著者紹介としては羽生善治九段が将棋界の第一人者であり，さまざまなタイトルを獲得してきたその実績が基盤となっています。執筆担当の小田切秀人氏は子ども将棋教室を運営し多数の子どもを指導してきた実績があり，読み手の理解度を配慮した文章構成が特徴です。

全般を通じて図面や具体的な対局例，手筋解説が豊富に盛り込まれており，終盤に苦手意識を持つ人でも読み進めながら着実に理解を深められる流れになっています。詰みや必至といった基礎を踏まえつつ速度や受けの工夫を身につけたい方にふさわしい実用書であり，シリーズ全体の完成度を高める重要な一冊です。

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