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非対面営業の要であるインサイドセールスを、自社成果の源泉として継続的に機能させるための組織構築指南書です。一貫して「成果を出し続ける組織」の設計にフォーカスしており、分かりやすい１３の要素に分解して戦略や運営、人材育成といった実務の肝を提示しています。

本書冒頭ではまずインサイドセールスの定義と背景を取り上げています。顧客行動のオンライン化やサブスクリプション型ビジネスの隆盛、そしてポストコロナにおけるテレワーク普及という時代背景が非対面営業の台頭を後押ししていることを解説します。そのうえで対面営業との違いを整理し、SaaS企業などで導入が進む理由を明らかにしています。

中核となる章では成果を上げ続けるための１３要素を軸に構成されています。組織体制、ツール活用、オペレーション設計、成果指標の設定、人材マネジメント、育成制度、キャリアパス設計、組織文化やパーパス設定、ルール整備、評価制度、フィードバック体制、データ分析といった多角的な観点から、各要素の実装方法と運用ポイントを深めています。各章には企業実例やチェックリストが含まれ、自社の課題を自己診断できる構造になっています。

個別のポイントでは、たとえば属人化を防ぐ情報共有の仕組みづくり、リモート環境下でもモチベーションを保つ評価と報酬設計、ディスカッションや週次ミーティングによるチームカルチャー醸成、人材育成のPDCAサイクル確立といった施策が丁寧に解説されており、読者がすぐに実行に移せる内容です。

著者の阿部慎平氏はスマートキャンプ株式会社でCOOを務め、インサイドセールス代行・支援サービス「BALES」の立ち上げと拡大を手掛けてきた経験をもとに、延べ２００社以上への支援実績を本書へ反映しています。

全体として、単なる理論書ではなく設立から運営、改善まで自分たちで再現可能な体系へ落とし込んでいることが最大の特長です。実務で直面する課題を意識して構成されており、組織規模や業界を問わず応用できる実践的な設計といえます。

他書との違いとしては「組織作り」に徹底してフォーカスしている点が際立っています。営業手法やトークスクリプトにとどまらず、チームマネジメントやキャリア形成にも踏み込むことで、成果の持続につながる仕組みを根付かせる視点が際立っています。

成果重視の組織を自らの手で設計し、継続的な改善ドライブを動機付けるための実務ガイドとして本書は非常に有意義です。体系的な構成と現場で応用できる具体的なノウハウにより多くの企業や責任者にとって羅針盤となり得る内容です。

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