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原作漫画全7巻を初めて歌舞伎化した意欲作で、2021年1月20日にブルーレイとDVDで発売されました。脚本は丹羽圭子氏と戸部和久氏が手掛け、演出をG2氏が担当しています。

主演には尾上菊之助がナウシカ役を演じ、中村七之助がトルメキア皇女クシャナ、尾上松也・坂東巳之助・尾上右近・片岡亀蔵・中村米吉といった豪華俳優陣が名を連ねています。原作者・宮崎駿氏の漫画を歌舞伎へと昇華させるため、音楽にも久石譲氏の楽曲を和楽器で再構成という贅沢な構成が取り入れられました。

この歌舞伎版は昼の部と夜の部に分かれて完全上演され、巨大な産業文明の崩壊、腐海や王蟲、腐海を巡る争いなど、原作漫画の壮大な物語を高い再現度で描いています。本水、宙乗り、舞踊、引抜といった伝統的な歌舞伎演出がふんだんに盛り込まれています。

舞台では王蟲の培養層の場面に大量の水が使われ、俳優が濡れながらの立ち回りを見せて観客を圧倒します。「舞台上がびしょびしょになり滑りやすそうで本当に危ない」と評され、俳優の技術の高さが際立つ場面となりました。

観客の声として「ナウシカの世界観を壊さず古典歌舞伎の要素も満載」「初心者にも歌舞伎入門として最適」といった肯定的な評価がある一方で、「6時間超の長丁場のため、数日に分けて鑑賞した」と時間的ハードルを指摘する声もありました。また原作のナウシカ像やキャラクター解釈に関して、「ナウシカの強さ・激情などの暗い側面が薄いのでは」という意見もあり、次回への改善を望む声が投稿されています。

演者についての背景として、尾上菊之助はこの作品化に際し、スタジオジブリと宮崎駿氏の了承を得るためにプロデューサーの鈴木敏夫氏と連携し、和の要素を意識しつつポスト環境倫理やエネルギー問題という普遍的テーマと重ね合わせて表現することを目指したという経緯があります。菊之助自身がナウシカ役への強い思いを示していたことも紹介されています。

DVDは物語の全体像が把握できる4枚組構成で、多彩な演出や音楽、キャストの熱演をじっくり鑑賞できる仕様になっています。演出効果の高さと原作再現への注力が両立した一方で、上映時間の長さや解釈についての好みは観客によって分かれるようです。歌舞伎本来の技巧と宮崎駿作品の世界観が融合し、新たな形で日本文化と物語の深みを伝えようとした試みである点が特筆されます。

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