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著者 浅井 建爾による、京都の街を地図と地名という視点から楽しみながら解きほぐす一冊です。千年以上の歴史を刻んできた都・京都の、地理的・歴史的な「謎」を「地図」「地名」という入口から読み解く構成になっています。

本書ではまず、「先斗町」をなぜ「ポントちょう」と読むのか、「西陣」「西院」があって「東陣」「東院」が無いのはなぜか、「右京区」と「左京区」に「右」「左」が逆になっているのは何故かなど、普段何気なく通り過ぎてしまう地名や街区の違和感にスポットを当てています。 また、街歩きの楽しさが増すよう「この知識があると京都散策が変わる」というテーマを第１章から第６章まで6つに分けて詳しく掘り下げています。

目次的には、第１章「これだけ知っていると京都の街歩きが楽しくなる」から始まり、第２章「京都の謎を読み解く」、第３章「京都八百八寺の謎」、第４章「京都にはなぜ「対」が多い？」、第５章「地名から分かる京都の歴史」、第６章「京都の名産品、伝統行事の謎」という流れで構成されています。 特に地名のパターンとして「西・東」「右・左」「上・下」「北・南」といった「対」構造が京都では多く見られる点を、地形や歴史・行政区画の観点から解説していて、街歩きを「ただ歩く」から「読み解く」へと変えてくれます。

また地図を眺めることで「なぜあの道がこの幅なのか」「この川がここを流れる理由」「標高差があるからこの街並みがこうなっている」といった「地形がつくる街」の構造にも目が向くようになります。著者自身が地理・地図研究の立場にあり、細部にわたる地図写真や図版を活用して、地名や街区・河川・坂道などの背景を丁寧にひもといていることが、本書の特色です。

本書を手にすると、例えば「なぜ駅伝発祥の地といわれるのか」「なぜ「北大路通」があるのに「南大路通」はないのか」など、京都の街を歩いていて感じる「あれ？」や「小さな疑問」に対して地理的・歴史的な答えが得られます。 この点が、単なるガイドブックや観光書とは異なり「知的な街歩き」のガイドにもなる理由です。

読者としては、京都を訪れる予定がある方、あるいは地名や地図・街の成り立ちに興味がある方、また「地図から読み解く旅」が好きな方にとって、駅・通り・町名一つひとつを違った視点で眺め直せる内容になっています。加えて、街歩き中に「この地名はどういう意味だろう」「この道はなぜ曲がっているんだろう」と思ったときに、本書をそっとバッグに入れておけば、歩く楽しさがさらに膨らみます。

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